平和祈念   024)

昨日、3月10日は63年前に東京大空襲で10万人の方々が亡くなったそうです。
墨田区役所では92年から毎年、平和を祈念して折鶴による壁画を飾っています。
縦15mX横8m、区民らが折った15万羽の折鶴で出来ています。



         01、テーマは『 平和 』-とどけ世界へ宇宙へ。
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         02、15万羽の折鶴
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         03、平和祈念コンサート 新東京フィルハーモニー管弦楽団の弦楽四重奏
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花があったら

 昭和二十年三月十日の(東京)大空襲から三日目か、四日目であったか、
私の脳裏に鮮明に残っている一つの情景がある。

 永代橋から深川木場方面の死体取り片付け作業に従事していた私は、
無数とも思われる程の遺体に慣れて、一遺体ごとに手を合わせるものの、
初めに感じていた異臭にも、焼けただれた皮膚の無惨さにも、
さして驚くこともなくなっていた。

午後も夕方近く、路地と見られる所で発見した遺体の異様な姿態に不審を覚えた。

 頭髪が焼けこげ、着物が焼けて火傷の皮膚があらわなことはいずれとも変りはなかったが、
倒壊物の下敷きになった方の他はうつ伏せか、横かがみ、仰向きがすべてであったのに、
その遺体のみは、地面に顔をつけてうずくまっていた。

着衣から女性と見分けられたが、なぜこうした形で死んだのか。

 その人は赤ちゃんを抱えていた。
さらに、その下には大きな穴が掘られていた。

母と思われる人の十本の指には血と泥がこびりつき、つめは一つもなかった。

どこからか来て、もはやと覚悟して、指で固い地面を掘り、赤ちゃんを入れ、
その上におおいかぶさって、火を防ぎ、わが子の生命を守ろうとしたのであろう。

 赤ちゃんの着物はすこしも焼けていなかった。
小さなかわいいきれいな両手が母の乳房の一つをつかんでいた。
だが、煙のためかその赤ちゃんもすでに息をしていなかった。

 わたしの周囲には十人余りの友人がいたが、だれも無言であった。
どの顔も涙で汚れゆがんでいた。

一人がそっとその場をはなれ、
地面にはう破裂した水道管からちょろちょろこぼれるような水で手ぬぐいをぬらしてきて、
母親の黒ずんだ顔を丁寧にふいた。

若い顔がそこに現れた。
ひどい火傷を負いながらも、息の出来ない煙に巻かれながらも、
苦痛の表情は見られなかった。
 これは、いったいなぜだろう。美しい顔であった。
人間の愛を表現する顔であったのか。

 だれかがいった。

 「花があったらなあ――」

 あたりは、はるか彼方まで、焼け野原が続いていた。

私たちは、数え十九才の学徒兵であった。。



これは須田卓雄さんという方が、1970年12月29日付朝日新聞で発表された体験です。
『写真版 東京大空襲の記録』(新潮社)にも収録されています。
http://www.ihope.jp/tokyo-bomb.htm から引用させて頂きました。
by isao_isao | 2008-03-11 11:56 | 7)スナップ | Comments(8)
Commented by TAMA at 2008-03-11 12:16 x
泣いてしまいました・・・
Commented by macoto at 2008-03-11 13:10 x
人間と言う生き物はどこまで愚かな生き物なのか。
こんなにも悲惨な戦争を未だ続けている。。。
この涙を後々に伝えるのが、私たちの役目かも知れません。
Commented by シゲ at 2008-03-11 15:56 x
こんにちは。
悲しい話ですね。忘れてはいけないのですね!
Commented by nama3 at 2008-03-11 22:27 x
こんばんは。
重い話ですが、語り継がなければならないと思いました。
私たち一人一人に出来ることは、小さなことですが、その積み重ねが
大きな力になるはずです。これからも肝に銘じて生きていきたい。そん
な気持ちになりました。
Commented by isao_isao at 2008-03-11 23:28
>TAMAさん、こんばんは。
こう云う事は埋もれたらいかんよな!
Commented by isao_isao at 2008-03-11 23:34
>macotoさん、こんばんは。
歴史は繰り返すと云いますが、悲惨な歴史は繰り返しちゃいけませんよね。
Commented by isao_isao at 2008-03-11 23:36
>シゲさん、こんばんは。
ほんと、シゲさんがよく書いていらっしゃる歴史は繰り返すと云う言葉。
こんな悲惨な歴史は繰り返してはいけませんね。
Commented by isao_isao at 2008-03-11 23:45
>nama3さん、こんばんは。
重たい話ですが実話なんですよね。戦争の悲惨さを訴える話は沢山聞きましたが、
この話ほどズシンと心にきた話は有りませんでした。この話は一生忘れられないです。
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